最近クラウドワークスやランサーズで非常に多くの案件が募集されている「YouTubeのシナリオライター」。
ここ2、3年で案件数がかなり増加しており、目にする機会が増えています。
しかし、Webライターやブログの代筆などの仕事内容はわかっても、YouTubeのシナリオライターとだけ聞くと、どんなことをするのかわからない人もいますよね。
実際に私が「YouTubeのシナリオライターやってます」と説明しても「チャンネルを運営しているんですか?」「シナリオライターって何ですか?」と言われるのがほとんどです。
そこで今回は、 10チャンネル以上の掲載実績と執筆シナリオ200本以上の私が、そもそもYouTubeのシナリオライターとは何なのかについて詳しく掘り下げていきます。
Youtubeシナリオライターとは「YouTubeの脚本家」
そもそもYouTubeのシナリオライターとは何なのか。
一言で表すならば、「YouTubeの構成作家・脚本家・台本を作る人」になります。
クライアントの依頼内容によって、どこまで踏み込むのかの差はありますが、基本的には台本作成まではシナリオライターの仕事です。
もっとイメージしやすく説明すると、ドラマや劇の台本を想像してみて下さい。
セリフや場面転換、ナレーションなどが書いてありますよね。
YouTube上の動画の台本を書くイメージが一番しっくりくるかもしれません。
Youtubeシナリオライターの仕事内容
YouTubeのシナリオライターがどんな仕事内容かわかったところで、実際の仕事内容をご紹介します。
YouTubeシナリオライターの仕事内容は大きく分けて3つあります。
- お題と大筋のストーリーに沿って、ナレーションやセリフを台本のように書く
- キーワードに沿ってストーリーを考え、ナレーションやセリフを台本のように書く
- ナレーションやセリフだけでなく、プロットや映像の指示、SE(効果音、サウンドエフェクト)まで書き上げる
お題やキーワードがなく、ナレーションやセリフを書く場合はほとんどありませんが、場面転換や効果音まで全てこちらで仕上げる場合はよくあります。
5STEP!Youtubeシナリオライターの仕事の流れ
YouTubeシナリオライターの主な仕事の流れをご紹介します。
今回はクライアントからお題をもらうところから、完了後の流れまでを順番通りに解説します。
主な流れは以下の5ステップです。
- クライアントからお題(キーワードやタイトル)をもらう
- プロットを提出する
- 初稿を提出する
- クライアントからの修正に対応する
- 納品完了~完了後の流れ
※例として有名なグリム童話の赤ずきんで説明します。
それぞれ順番に解説していきます。
①クライアントからお題をもらう
まず、クライアントからお題を貰います。
ランサーズなどのクラウドソーシングサービスを経由している場合は、依頼の案件内容にお題が書かれている場合と、別途メールで案件を貰える場合があります。
お題の貰い方はいくつかありますが、よくあるお題の出し方は【タイトル、登場人物が指定されている】【キーワードが指定されている】の2つです。
もしくはキーワードではなくて「○○についての動画を作りたいので、良いタイトル案ありませんか?」と相談される場合があります。
このような相談を受けた場合、YouTubeで上位表示できるように、検索欄にあるサジェストや他の動画を見てタイトルまで考えないといけません。
Webライターやブロガーのような側面も一部併せ持つ場合がありますので、最初はタイトルの指定がある案件を受ける方が良いでしょう。
今回赤ずきんの場合、以下のようなお題が来ると考えられます。
□お題「小さな少女がおばあちゃんのお見舞いに行く途中に狼に騙された後、ハッピーエンドになる話」
□登場人物
赤ずきん(赤い頭巾をかぶった小さい少女)
赤ずきんのおかあさん
赤ずきんのおばあちゃん
狼
猟師(男性)
②プロットを提出する
内容やタイトルが決まったら、次はプロットを提出します。
プロットとは、物語・小説・戯曲・映画などの筋立てや構想を表します。
物語の簡単なあらすじや、起承転結の主な流れを初稿提出前に求められる場合が多いので、しっかりと対応しましょう。
プロット提出で重要なのは、短い文章の中で起承転結が分かるように、そしてオチの魅力を伝えられるようにする心がけです。
いくら面白い構想が浮かんでいても、プロットの段階でうまく伝えられないとボツになってしまいます。
そこで、プロットを提出する前に、しっかりと4コマ漫画のように組み立ててから、端的にストーリーの概要を伝えるようにしましょう。
プロットは多くの場合テキストやWordなどで簡素に説明します。
赤ずきんの場合は下記のようなプロットを提出します。
赤ずきんはおかあさんに頼まれ、病気のおばあさんに花とワインをお見舞いの品として届けようとする。
おかあさんとは「寄り道をしないでお使いをすること」を約束した。
ところが悪い狼に出会い、道草をそそのかされその通りに遊んでしまう。
その間におばあさんは狼に騙されて食べられてしまう。狼はおばあさんに変装する。
赤ずきんがお使いを思い出し、おばあさんの家に行くが、おばあさんの様子がおかしいことに気付く。
「何故お目目が大きいの」「それはお前をよく見る為さ」
このように赤ずきんはおばあさんの様子がおかしい顔のパーツを一つ一つ説明する。
そして「何故お口が大きいの」「それはお前を食べちまうためさ!」
狼は次の瞬間赤ずきんを丸のみにする→狼はお腹がいっぱいで動けない
お腹がいっぱいの狼を見つけた猟師がお腹をナイフで切る→お腹の中からおばあさんと赤ずきんが無事に救出
狼は腹に石を詰められ仕返しされる。
赤ずきんは約束を破って寄り道したことをおばあさんやおかあさんに謝り、反省する。
③初稿を提出する
プロットでクライアントからOKが出たら、初稿を執筆します。
初稿からセリフなどをしっかりと書き込み、台本らしいものにしていきます。
原稿のイメージはこんな感じです。
※今回は赤ずきんでセリフの多い、赤ずきんと狼のシーンを抜粋します。
赤ずきん「どうしておばあさんのお目目はそんなに大きいの?」
狼「それはお前をよぉく見る為さ」
赤ずきん「じゃあ、どうしておばあさんの耳はそんなに上にあるの?」
狼「それは、お前の声が遠くからでも聞こえるようにさ」
赤ずきん「なら、どうしてそんなに大きなお口をしているの?」
狼「それは・・・お前を一口で食べてしまう為さ!」
狼は叫びながら吠えながら赤ずきんに飛び掛かると、赤ずきんをあっという間に丸のみにしてしまいました。
狼(ふぅ、おなかいっぱいだ・・・満足満足)
狼(しかしおなかがいっぱいすぎて体が重たいな、休憩したくなってきた)
狼(この家には良いベッドもあるし、寝てしまおう。腹が膨れると眠くなるなあ)
こうして狼は満足感からか大きないびきをかいて、おばあさんのベッドで寝こけてしまいました。
ただの絵本とは違い、動画で表現するため、出来るだけセリフでストーリーを繋げます(説明動画は別です)。
市販の赤ずきんの絵本では、狼の気持ちまで詳細に書かずに「お腹いっぱいの狼は眠ってしまいました」と書くのみですが、どうして寝てしまったのか、狼がどのような気持ちなのかをしっかりと書けば、ほとんどセリフや心の声で話を進められます。
④クライアントからの修正に対応する
何度もやり取りをして慣れているクライアントであれば、そのクライアントの癖や希望を察知できるため、一度でOKを貰える場合もありますが、もちろん修正もあります。
言われた箇所をしっかりと修正するようにしましょう。
例えば赤ずきんの原稿でクライアントから「狼をもっと怖く、そして臨場感を増やしてください」と注文があったとします。
赤ずきん「どうしておばあさんのお目目はそんなに大きいの?」
狼「それはお前をよぉく見る為さ」
赤ずきん「じゃあ、どうしておばあさんの耳はそんなに上にあるの?」
狼「それは、お前の声が遠くからでも聞こえるようにさ」
赤ずきん「なら、どうしてそんなに大きなお口をしているの?」
狼「それは・・・お前を一口で食べてしまう為さ!」
狼「うおおおおお!!赤ずきんめ!お前を食ってやる!」
赤ずきん「わああ!助けてええ!」
血眼になりながら狼は叫び、爪をむき出しにして赤ずきんに飛び掛かると、ゴクリと喉を鳴らし、赤ずきんをあっという間に丸のみにしてしまいました。
狼(ふっふっふ、愚かな赤ずきんめ、騙されて道草なんか食うからこんなことになるんだ!)
狼(ふぅ、おなかいっぱいだ・・・満足満足)
狼(しかしおなかがいっぱいすぎて体が重たいな、休憩したくなってきた)
狼(この家には良いベッドもあるし、寝てしまおう。腹が膨れると眠くなるなあ)
こうして狼は満足感からか大きないびきをかいて、おばあさんのベッドで寝こけてしまいました。
太字が修正した部分です。
狼をより怖いキャラクターに、赤ずきんがより怖がっているように、そして狼の動きに臨場感が足されました。
このような抽象的な注文にもうまく答えられるように、様々な日本語や擬音などの表現を身につけておくとスムーズに制作が進みます。
⑤納品完了と完了後の流れ
クライアントからOKを貰ったあと、ライターは報酬を得ます。
ラウドソーシングサービスを利用している場合は、完了報告や評価をして終取引自体は了となります。
しかし、YouTubeシナリオライターの仕事はここで終わりではありません。
自分の作品が映像化されたときに、どのくらい再生されたのか、再生数に対してどのくらいの高評価を得られたのかを見ます。
さらに、コメントもしっかりとチェックしなければなりません。
理由として、視聴者やファンからのコメントはクライアントよりも辛口で、しっかりと遠慮なく伝えてくれているからです。
コメントや評価など目に見える形で自分のシナリオを確認し、反省点を見つけ、次に生かす行動をするまでがYouTubeシナリオライターの仕事です。
Youtubeシナリオライターに必要な設備
最後に、YouTubeシナリオライターに必要な設備をご紹介します。
シナリオライターと言うと難しい職業な気がして、専門の設備があるように感じる人もいますが、そうではありません。
必須な設備と、あれば良い設備を両方解説します。
カメラ付きパソコン
WindowsやMac、どちらでも構いませんし、大きな差はありません。
多くの仕事をこなしていくうちに、フォルダにシナリオが大量に入るようになるため、最初からある程度容量があるとベストです。
また、調べ物をしながらストーリーを執筆する場合も数多くあるため、処理能力が高いパソコンでないとすぐにフリーズしたり熱くなったりしてしまいます。
超ハイスペックまでは必要ありませんが、ある程度のスペックのパソコンを用意しましょう。
そして、後述しますが、カメラ付きのパソコンもしくは別売りでカメラを用意する必要がありますので注意してください。
そして、必ずWord・Excelは入れておきましょう。
提出時に必ず使います。(別売りの場合)
ネット環境
YouTubeのシナリオを確認したり、資料を大量に探す場合もあるので、ある程度のスピードが出るネット環境が望ましいです。
また、クライアントによってはチャットワークやslackなどのアプリを使用する場合がありますので、いくつかアプリを開いていても重たくならないような環境が無いと非常に不便です。
Webライターやブロガーでも同じように言えますが、他のライティング業より動画を見る回数が多いので、より回線には気を付けなければならないと言えるでしょう。
Zoomなどの連絡機能
稀にクライアントによっては、採用時の挨拶やプロット作成時に顔を合わせたいと希望する場合があります。
フリーランスではなく、その会社の専属ライターとして活躍する場合は、定例会議などに参加しないといけません。
そのためカメラがついているパソコンもしくはカメラを購入し、Zoomやチャットワークなどの連絡機能をしっかりとインストールしておく必要があります。
クライアントが個人ではなく法人の場合、よりZoomなどの会議に参加する機会が多くなりがちです。
会議が必要なクライアントかどうかは、依頼内容や最初の契約時にしっかりと質問して聞いておきましょう。
Googleアカウント
意外と一番大事なのがGoogleアカウントの取得です。
クライアントによってはフォーマットが決まっており、GoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントでの提出が義務の場合があります。
また、提出はWordだったとしても、ネタ帳や管理シートなどがGoogleスプレッドシートなどを利用する場合が非常に多いです。
実際私が携わったクライアントのうちの半分はGoogleアカウントが必須でした。
また、YouTubeのアカウントを作る場合もGoogleアカウントは必須になる上に、Gmailなどのフリーアドレスを持っていると仕事でも非常に役立つため、この際作るのをおすすめします。
今がチャンス!Youtubeシナリオライターになろう
YouTubeのシナリオライターとは何か、から実際の仕事内容、必要なものまで網羅してご紹介しました。
例を交えて具体的に紹介しましたが、イメージが湧きましたでしょうか。
シナリオライターはまだまだ募集の数に対して活躍している人数が少ない傾向にあり、案件を選ぶ余裕があります。
この記事を読んでイメージが出来た方は、ぜひチャレンジしてみて下さい。
自分が作ったシナリオや作品が動画になり、多くの方々に見られるようになると、非常に感動しますよ。
【Youtubeシナリオライター】おすすめ記事一覧
以下、Youtubeシナリオライターに関連したおすすめ記事をご紹介しています。
Youtubeシナリオライターの内容は一通り網羅していますので、ぜひご参考ください。
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